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| 2003/10/10
FRI 達人? |
パソコンのケースが、どうしても開けられなかった。
NECのバリュースター、省スペース型の機種だ。
これを開けなければ、電源ボタンをおいても起動しないクライアンのパソコンを調べることができない。
ハードディスクの故障なのか、バイオスの故障なのか?起動時のロゴさえも表示されないことから、多分バイオスに原因があるのだろうという想像はできる。それを調べようと、パソコンのケースを開けにかかった。
しかし、これがどうしても開かない。まるで、民芸品屋で売っているからくり箱のようだ。ネジをはずしても、あちこちを押しても引いてもびくともしない。
参った!
こんなことをしていては、ほかの仕事ができなくなってしまう。
と、いうわけで、近所にある個人でやっているパソコンの修理屋さんを訪ねてみた。
デジタルコンサルタントなどという但し書きを持つ身としては、とても恥ずかしいので、一応職業を伏せ、パソコンの素人を装った。
その店は、とても乱雑にあらゆるものが置かれていた。
ケースが開けたままになっている大きなタワー型のパソコンが数台。椅子の上にはノートパソコンが放り出されるように置かれていた。テーブルの上には、ネジや小さな部品、ネジを回すためのドライバーが数本、それに混じって灰皿。灰皿の周りには、たばこの灰が散らばっていた。
店の主人は、頭のほとんどを白い髪で覆われた、40歳なのか50歳なのかわからないおじさんだった。少なくとも、30台でないことは明らかだ・・・30台だったら驚く!!
ぼそぼそと話す口元から、白い歯をのぞくことができない。笑うと唇の右端に一本だけ、黄色い歯が見えた。
「このパソコン、起動しなくなったので、見てほしいんですけど。」
そういうと、「どれどれ、そこに置いて・・・」といいながら、ドライバーを手にした。
ケースのネジをいくつか外すと、あちこちを押してみたり、引いてみたりして、一生懸命ケースをスライドさせようとしていた。
(ああ、そこまでは自分でもやったんだけどなぁ・・・)
そう思いながら、じっと手元を見守っていた。
「メーカーのパソコンは、パズルなんだよなぁ。ドライバーがまったく必要ないものもあるんだけど。」
「メーカーのパソコンなんて、おもちゃだよ。やっぱり、パソコンは自分で作らなきゃなぁ」
ぶつぶつとそんなことを言いながら何分?。。。いや、1時間近く格闘しただろうか?
やっと、パズルの鍵を見つけたようだった。
(開けられれば、あとは自分でできるんだけど・・・)
そんなことを口にするわけにも行かず、「どこが悪いんですかねぇ」と質問してみた。
「まあ、ハードディスクか、マザーかだな」
(そうねぇ、その通りだと思うよ。)
ハードディスクを取り出して、ディップスイッチをセカンダリに設定した後、ケースが開け放しのパソコンに接続した。
OSは起動せずに、バイオスの設定画面を出し、セカンダリのハードディスクが認識されているかどうかを確認した。
「ハードディスクは、生きてるみたいだな。バイオスが書き変わっちゃうから、OSは起動しないよ。」とおじさん。
「わかりました。じゃあ、あとは自分でやってみます。」
このおじさんが、どうやって生計を立てているのか、少し興味を持ったので、聞いてみた。
「ここは、パソコンの修理だけですか?パソコンを組み立てたりもしてくれるんですか?」
そんな質問を発したために、4時間もの間、その店の中にいることになった。
よく聞くと、そのおじさんはすごい仕事をしているようだ。パソコンに限らず、コンピューターに関する知識は底が見えないほど深かった。
ここに書くと、そのおじさんはどこかの組織に拉致されてしまうのではないかと思えるほど凄かったので、敢えてここには書かないことにするけれど、こんな身近にこんな達人がいるんだなぁと、感動を覚えた。
上には上がいるもんだ。 |
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